行けたんだ! カナダ!!

~三十路兄ちゃんのカナダ生活日記~

十五階のリッチな生活(2)

 次の日は、マザーズデイ(母の日......こっちにもあるんだよね)でボールドウィン夫妻と僕の三人は、ラリーの運転する車で息子さんの家に行った。

 ラリーはトヨタの古い中型車に乗っていた。家はあんなに立派なんだけど車はボロかった。でもラリーはその大きな体を小さなトヨタ車に押し込んで、日本車はいいと言っていた。

アメリカ車は直ぐ壊れるけど、日本車はなかなか壊れないから何年でも乗れるんだ」

「そうなんですか?」

 日本の事を褒められるとやはりうれしいもんだ。

 道路を走る車を良く見ると、日本車が結構走ってる。それに中型車や小型車が多く、ガソリンを食う大型のアメリカ車は最近は敬遠されてきているらしい。

 こっちでは車は単なる足、道具という感覚が日本より強いと思う。もちろん新車をいつもピカピカにしている若者もいるけど、結構ボロボロな車も走っている。

 いつだったか、車体の色は白なのに運転席側のドアが黄色で走っているボロボロのシボレーを見た。

「ドアくらい塗装しろよ!」一体どんな荒くれ物が乗っているんだろうと思って駐車場に停まったその車を見ていると、中からサングラスを掛けたブロンドヘアーの、足のスラーっと長いキャリアウーマン(映画に出てくるような)風の女の人が降りて来て、そのボロボロのシボレーの色違いのドアをドカン!と閉めて、さっそうと歩いて行った。

「私にとって車は、単なる通勤の道具よ。問題は中身ね!」とでも言っているような感じだった。

「いやあ~カッコイイねえ~」と見とれてしまった。

 

 ボールドウィン夫妻の息子は四十歳くらいで、優しそうな奥さんとかわいい小学生くらいの子供が三人いた。

 みんなでバーベキューをしてビールやワインを飲み楽しんだ。

 ローラはみんなの話しを僕に解るようにゆっく~り通訳?してくれるのだが、それも良く解らない。僕はただニコニコ愛想を振りまくだけで、カナダに来てまだ二日目という事もあり、ほとんど何も喋る事が出来なかった。

 少しでも何かを言おうとすると、それについて何倍にもなって返ってくる。けどほとんど何言っているのか解らない。情けない話しだ。

 一対一だったら何とか身振り手振りで少しかは解るんだけど、多数相手だとお手上げなんだよねえ~。

 でも一番下の男の子が、僕の持ってきた竹トンボをえらく気に入ったらしく、飛ばし方を教えてあげて一緒に遊んだのは楽しかった。

 しかしあんな小さな彼でもさすがカナダ人。

 英語の発音は完璧(LとRの発音 thの単語、うまい!)、ペラペラと英語を話すのであった。 恐るべし!!