行けたんだ! カナダ!!

~三十路兄ちゃんのカナダ生活日記~

バーボンは難しい(2)

 僕はタバコも好きだけど、酒も大好きだ!(て書いたら酒乱みたいだけど、そんな事ありません、タバコは今は完全に愛禁煙家!!)。

 日本にいた時は、自慢する事ではないが、毎日寝酒を飲んでいた。一年の内、全く飲まない日は十日位だ(おもに二日酔いのため......そういう時は二度と酒飲みたくなくなるんだけど、また飲んでしまうんだよなあ~)。

 カナダに来てのホームステイ、最初の二週間は家で酒を飲むという雰囲気でもないし、外で飲むといっても全然分からないし、英語喋れないし、ホント飲んでなかった。

 肝臓にとってはこんなに素晴らしい時期はなかったと思う!?

 しかしその後友達も出来て、外で飲む事を覚えてしまったのだ。飲ん兵衛は何処に行っても酒を飲もうとするもんである。

 日本では、アメリカのバーボンウイスキーを好きでよく飲んでいた。

 僕が酒を飲みだした頃、日本ではバーボンブームで、どこのバーへ行ってもアメリカのバーボンがカウンターにずら~っと並んでいた。

 それを飲もうとするんだけど、タバコ同様カナダのバーではアメリカの酒が無いのである。

 それに何度言っても、その ”バーボン” の発音が通じないのである。これは以前ニューヨークに行った時もそうだったので、残念ながら僕の発音が悪いのだろう。

”バーボン” ”ヴァ―ボン” ”ボアーブン” ”バーRボン” いろんな風に言っても、「わかんないなあ~......」という顔をされてしまう。

 一度、英語学校の先生にその事を言って、練習をした。その練習の時は、カナダ人の先生はOKを出してくれるんだけど、本番ではなかなか通じなかった。

 もう面倒くさいので、アメリカンウイスキーと言ったら理解してくれたので、その後からはもっぱら、「ドゥー ユー ハブ ア アメリカンウイスキー?」と聞いていた。バーボンとはあまり言わないのかなあ?今だに良く分からない。

 それでも店にバーボンはあまりなく、あったとしてもジャックダニエルとジン・ビームくらい、たまにワイルドターキーがあるくらいだ。それをオン・ザ・ロックで飲んでいた。

 バーでバーボンロックを飲んでいると、

「良くそんな強い酒飲むねえ~」「君はある中かい?」とカナディアンに何回か言われた。

 ある時なんかジャックダニエルのロックを一人でカウンターで飲んでいると、

「そんな臭い酒良く飲めるなあ~? そんなのは garbage(ゴミ)だ!」と隣に座っていた白人のおじさんに怒鳴られ、

「俺みたくカナディアンビールを飲め!!」と言われた。これもアメリカへの対抗意識なのだろうか......?

 カナダ人は良くビールを飲む。バーではだいたいの人が、生ビールの入ったでっかいグラス(中ジョッキくらいのサイズかな?)かボトル(小瓶、日本ではあまり見ないが)を飲みながら隣の人と喋ったり、カウンターの上にぶら下っているテレビ(どこでもテレビがぶら下っている!)のスポーツ中継を見て楽しんでいる。

 こっちの人は日本人の様に強い酒はあまり飲まない。あとはワインくらいかなあ。

 

 僕の住んでいたトロントがあるオンタリオ州は、酒に関して結構厳しい州だった。他のカナダの州やアメリカの各州も、その州によって細かく規制されているので、一概には言えないが。

 まず驚いたのが、バーやレストランは午前二時以降、酒を売ってはいけない事だ。だから遅くやっている店でも、大抵午前二時過ぎに閉店。

 もちろん、どこの国でも法律を破る者がいるように、ヤミでそれ以降も酒を出している所もある事にはある。

 人から聞いた話しでは、あるチャイニーズレストランでは顔見知りの客だけに、普段お茶を入れている急須に酒を入れて、他の人には分からない様に出しているという。さすが華僑魂!

 朝までやっているカラオケボックス(韓国人経営、なんとそこは手動選曲システム!? 店の人間が別室で客の入れた番号を見てディスクを入れていた)では、二時以降お客さんが自分で持って来て飲まない様に、入店の際カバンの中身をチェックされる。もし店が売ったとしたら、即刻営業停止だから店側の対応も厳しい。

 

 でもある店で友達と飲んでいる時ふと疑問を抱いた。その店は珍しく午前四時までの店だった。

 二時までしか売れないのであれば、こっちが二時前までにいっぱい頼んで(例えばワインとか)おけばいいじゃん! 店が終わる四時までそれを飲めるじゃん!!

 しかし、さすがカナダ!?

 ある時、それを実行しようとちょっと多めにラストオーダーで頼み、二時過ぎてからも飲んでいた。時計を見ると二時半、やったー作戦成功!......と思いきやウェイターが僕の前に現れ、ひとこと言った。

「あと十五分で全部飲んでくれよ!」

 ウヒャー、マジかよ! なんと飲み干す時間まで決まっていたのだった。

 僕は残っていたワインを一気に飲んだ。おかげで次の日は少し二日酔いだったよ~!