行けたんだ! カナダ!!

~三十路兄ちゃんのカナダ生活日記~

夏はやっぱりフェスティバル(1)

 トロントの夏は暑い!

 特に僕のいた頃はここ何年かぶりの暑さで、連日35度以上にまで気温が上がっていた。

 しかし今や熱帯地方の日本の暑さとは違い、じめじめした湿度が無い事がまだ救いだった。

 その暑さとともに街では、毎週末いたる所でいろいろなフェスティバルが催される。

 ダウンタウンのメインストリートを通行止めにし、野外ライブやパフォーマンス、いろいろなパレード、オンタリオ湖畔での航空ショーや花火大会、それにF1レース。とても楽しい季節だ。僕もいろいろなフェスティバルに出向いて行った。

 ジャズが好きな僕は当初、トロントから500キロぐらい東にある街モントリオールで夏行われる、世界三大ジャズフェスティバルの一つ ”モントリオールジャズフェスティバル” に行こうと思っていた。

 二か月間の英語学校も終わり、

「よし!二週間ぐらいモントリオールに行くか!」と、僕は財布と相談した。すると喋る筈もない僕の財布は「そんな お金ありませ~ん!」と言ったと思う。

 そうだったのだ!この二か月間でお金を予定より使い過ぎてしまったのである。旅行するどころか、直ぐにでも仕事を見つけなきゃならない状況にあった。

 

 最初カナダに来たばっかりの時、時差ボケならぬお金の価値観ボケが、かなり治らなかった。

 どこの国に行ってもあると思うんだけど、世界一物価が高い日本を一歩出ると、他の国の物価が安い事を実感する。先進国のカナダでさえ日本よりは、安く感じる。

 しかし単純に安いからと言って、喜んではいられない。世の中にはいろいろなトリックが潜んでいるのである。

 店で物を買おうとする場合、値札を見る。すると、同じ様な物でも日本で買うよりも安いという事がよくある。

「カナダで買うと安いなー!これ、買おう」と買ってしまう。しかし値札の安さだけに惹かれてしまってはいけない。税金を考えなくてはならないのである。

 僕が住んでいたオンタリオ州では、カナダの消費税(GST)が7%、それにオンタリオ州の消費税(PST)が8%、合計なんと!15%の税金が殆どの物にかかってくる。

 つまり値札に200ドルと書かれた服をレジに持って行くと、15%の税金が足され

「230ドルです!」と言われるのだ(その当時は国税、州税と二つに分かれていたけど、今現在は二つが一緒にHSTとなり13%である)。

 心理的に安く見せようとカナダでも、99ドルとか199ドルとかの中途半端な数字を良くみるけど、会計で15%もの税金を足されると、元の金額なんてもう、どっかへ行ってしまう感じだ。

 そう言えば、日本では定番のあの ”イチきゅっぱー(198)”と最後の桁に”8”を付けるのは、こっちでは見なかった様な気がする。こっちは”9”を付けるのが多いんじゃないのかな。何故だろう?

 そんなに高い税金にも関わらず、分かっちゃいるんだけど書いてる金額の安さでついつい買ってしまうのである。

 

 税金の高さもさる事ながら、日本では存在しない出費がある。

 それは日本人が海外旅行で一番悩むと言われている物、チップだ。

 レストランでの食事やサービスを受けた時に払う物だけど、これがまた癖者なのである。

 チップの平均は大体10~15%と言われている。それはサービスに対しての報酬であるから、余りにも悪い接客や乱暴な運転をするタクシーには極端な話し払う必要はない。

 日本人の観光客はチップを払い過ぎると良く言われる。それは何故か?単に慣れていないと言うのもあるし、英語が喋れない、計算が面倒臭いというのもあると思う。

 僕も最初の頃経験があるんだけど、例えばタクシーに乗ってメーターの金額が20ドルだとする。10%は直ぐ分かる2ドルだ。じゃ!15%はというと3ドル(僕はこれも直ぐ出ない時もある、だって降りる直前だし、ましてや英語だし)、つまり定説を信じ2ドルから3ドルのチップでいいなと考える訳だ。

 でも感じの良い運ちゃんだったし、2ドルは少ないかなあ3ドルにしよう!そう決める。

 そこで降りる際合計23ドル払おうとして、財布を開けると細かいお金が全然ない。

あるのは20ドル札と5ドル札、それにコインが数セント。

「もう、面倒臭いから25ドル払っちゃえ!」とつい日本人はそういう時、太っ腹なのか何なのか、切り捨てではなく切り上げをしてしまう。

 でもそうなると、結局25%ものチップを払ってしまった事になってしまうのだ。

 その後チップのお釣りをもらう事が失礼ではない事、その時に使う英語を知った事で以前の様な事はなくなったけど、最初のうちはそんな事も分からないので、凄い高い率のチップを渡していたと思う。

 レストランに行きメニューを見ると日本よりも割りと安いと感じる、量も多いし。

 しかし、またチップがあるんだよね~!それに加え例の高い税金もある。それらを考えると、メニューに書いている金額のな、な、なんと!30%も多く実際は払わなければならない事になってしまうのだ。

 そんなこんなで最初のうちは、カナダは日本よりは物価が安いんだけど、慣れない税金やチップの魔術で、予想以上にお金を使ってしまったのであった。