行けたんだ! カナダ!!

~三十路兄ちゃんのカナダ生活日記~

十五階のリッチな生活(1)

 まずカナダでの最初の生活は二か月間のホームステイと英語学校である。日本で旅行会社を通して頼んであったものだ。

 僕のステイ先は郊外の閑静な住宅街といった感じの場所にある三十階建ての高級コンドミニアム。地下にはプールやジムやビリヤード場があって、住民は年配の人が多かった。

 仕事を退職して悠々自適な生活をしている人達が住むような高級マンションといった感じ(あとから友達のステイ先をいろいろ聞くと僕の例は特殊で、みんな結構普通の労働者の家という感じだった。本当ラッキーだった)。

 そこの十五階のボールドウィンさんという夫婦の家にステイした。

 

 彼等は本当に気さくでいい人達だった。

 お父さんのラリーは190センチくらいある大きな人で、足長おじさんといった感じの優しいカナダ紳士。前はどこかの社長だか会長だかをしてて、定年後の今はゆっくりと生活している。 

 お母さんのローラはカナダの上品なおばさんといった感じの人なんだけど、とてもバイタリティーがあり毎朝下のプールで一時間泳ぎ、午後は毎日の様にラリーと数時間の散歩に出かけ、週数回地元の大学に勉強しに行っていた。二人で良く映画やミュージカルを見に行ったりもしていた。

 すごく親日家で今まで何度も日本人をステイさせた事があると言っていた。

 

 ホームステイ初日は家の中や僕の使う部屋や、風呂場・トイレ(僕専用)等の説明をいろいろしてもらった。けど実際半分も理解出来なかったと思う。

 まあ、同じ人間だからお互い身振り手振りで......。

 部屋数は少ないんだけど。広い!

 二十五畳くらいのリビングと二人の寝室十五畳、それに僕が使うセミダブルベットが二つ入っている十二畳くらいのゲストルーム。それに八畳くらいのキッチンにトイレとバスが二つずつ。

 実家の一軒家の倍くらいあったりして、広い!

 

 こう説明するとすごく贅沢三昧で暮らしているように思うけど、中身は意外に質素である。

 テレビやステレオや洗濯機(デカイ!冗談抜きで日本の倍くらい)等の電化製品は二十年くらい使っているんじゃないかと思われる代物だったし、ソファー(これもデカイ!座る部分の奥行きがあって、短足の僕が座ると足が地面に届かず身動きが取れない)や本棚等の家具類も年期が入った物ばかりだった。永く大事に使っているという感じだ。

 でもたまにお客さんが来ると、ここぞとばかりに高価な銀のナイフやフォーク、キャンドル立てを用意する。

 金持ちというんじゃなくて、スマートな生活という感じだ。

 

 ボールドウィン夫妻とはその日いろいろな話をしたが、最初ホントに何言っているのか解らなかった。

 それでもローラとラリーは、僕に解るようにゆっくりゆっくり話してくれた。たまには紙に書いたりして......。

 

 その日は長旅の疲れと英語の疲れで、初めてのベットにも関わらずぐっすり眠った。